七尾強制連行訴訟が昨年の最高裁棄却で集結したが,この支援運動を引き継ぐ形で,七尾強制連行の戦後補償を実現する会が結成され,4月22日設立総会が開催された.
総会では,経過報告と会則が決定され,共同代表として,二俣和聖さんと角三外弘さんを選出するなど,役員の選出が行われた.続いて,旅日華僑中日交流促進会秘書長で花岡平和友好基金運営委員会委員の林伯耀さんが「花岡和解から10年-和解が提起した課題」と題して講演を行った.

七尾港に強制連行され,強制労働させられた中国人が,国と七尾海陸運送㈱に対して,謝罪と賠償を要求して,2005年提訴した.中国人生存者たちの,歴史の真実を訴え,謝罪と賠償を求めて闘いとの思いと,それに応えようとする日本の市民と弁護団の現地調査を経て開始された.

裁判では,一審判決が2008年10月に原告の請求棄却となり,控訴,上告を行ったが棄却が2010年7月最高裁で確定した.強制連行・強制労働の事実認定,国と会社による共同不法行為の認定,会社の安全配慮義務違反の認定,国家無答責の法理の不適用の一定の成果を勝ち取ることができたが.謝罪と賠償の訴えは退けられるという不当なものだった.しかし,裁判での成果を基礎に,歴史的道義的責任の追及と戦後補償を実現すべく,運動を続けることが確認された.

林さんの講演では,花岡での強制連行・労働の裁判と和解に至るまでの経過が説明され,和解の意義と課題が語られた.花岡和解には批判もあり,先日私たちが視察した,ドイツの「記憶・責任・未来」基金にも問題点と限界がある.しかし,花岡和解は,不特定の受難者に対する受益の権利が認められたという特徴を持っていて評価される.中国社会においては,司法の問題点や市民の自由の制限があり,日本社会では,いまだ侵略戦争の反省がなく,民族排他的な体質があることや司法の限界も説明され,二つの社会の現時点での限界と制約があることを指摘された.
また,4万人強制連行被害者の最終決着なくして花岡の最終勝利はない.一つの通過点と捉えると言われた.
被害の当事者の立場と思いに立って,評論ではなく行動されてきた人としての重みのある講演であった.

今なお戦争が終わっていない人々がいる.特に,国や企業が非人間的な扱いで,身体的精神的に大きな傷を与えた事実を認めながら,謝罪と賠償が行われていないという事実をうやむやにすることは許されない.このような運動を通じ,歴史の真実を知り,伝え,当事者の思いに応える活動にかかわっていきたい.

七尾強制連行戦後補償実現する会呼びかけ